症例報告
原発性十二指腸球部膠様腺癌の1例
佐々木 誠, 押淵 徹, 浜崎 宏明, 藤本 正博, 梶原 義史*, 松尾 繁年*, 角田 司*
平戸市国民健康保険紐差病院外科, 長崎大学第2外科*
原発性十二指腸球部膠様腺癌を経験した.症例は66歳女性,嘔気,嘔吐を訴えたため,上部消化管X線検査,内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部に潰瘍を伴うBorrmann 2型様の腫瘤を認め,生検の結果はGroup Vであった.原発性十二指腸球部進行癌の診断のもとに,Childの変法による膵頭十二指腸切除術を行い,治癒切除した.切除標本では腫瘍は,十二指腸球部大弯側を中心に広がり,4.0×0.5×1.0 cmの大きさで不整形の潰瘍を伴うBorrmann 2型様の外観を示した.腫瘍の主体は十二指腸粘膜下にあり,腫瘍細胞は,PAS染色陽性で,ムチン産生性の膠様腺癌と診断され,組織学的には,Brunner腺から発生したものと考えられた.十二指腸球部の膠様腺癌は,本邦では自験例が初めてと思われるので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
carcinoma of the duodenal bulb, mucinous adenocarcinoma
日消外会誌 24: 2419-2423, 1991
別刷請求先
佐々木 誠 〒859-53 長崎県平戸市紐差町494 平戸市国民健康保険紐差病院外科
受理年月日
1991年4月17日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|