症例報告
植物を核とした総胆管結石の1例
高橋 雅司, 石井 洋, 小泉 雅典, 佐野 進
公立佐沼総合病院外科
植物を核として形成された総胆管結石は極めてまれであり,しかも開腹手術歴のない患者に発生した例は本邦で2例目である.症例は34歳の男性で,主訴は上腹部痛と発熱である.超音波検査と腹部computed tomographyから総胆管結石と診断された.胆嚢摘出術と総胆管切石術を施行した.総胆管結石は植物を核として,クリスマスツリー状に形成されていた.核となっていた植物は走査電顕を用いた鑑定の結果,イネ科の野生の植物と判明した.術後塩酸負荷胆道内圧測定を施行したところ,乳頭筋は正常反応型を示した.何らかの機序で,総胆管内への経口摂取物の逆行性進入が起こりうることが示唆された.
索引用語
common bile duct stones, biliary foreign bodies
日消外会誌 24: 2433-2436, 1991
別刷請求先
高橋 雅司 〒987-05 宮城県登米郡迫町佐沼下田中25 公立佐沼総合病院外科
受理年月日
1991年5月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|