症例報告
右副腎からの著明な側副栄養血管を認めた末梢型胆管細胞癌の1切除例
川角 博規*, 佐々木 洋, 今岡 真義, 桝谷 誠三, 大橋 一朗, 小川 淳宏, 岩本 伸一, 石川 治, 古河 洋, 岩永 剛, 工藤 浩史**
大阪府立成人病センター外科, *現 済生会江津総合病院外科, **鳥取赤十字病院外科
最近,われわれは,右側腹部腫瘤に対し各種画像診断を試みたが,術前確定診断をつけるのが極めて困難であった末梢型胆管細胞癌の症例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で体重減少を主訴として近医を受診し,computed tomography(CT)で腹部腫瘤を指摘され紹介となった.腹部CTおよびmagnetic resonance imageでは肝右業後区域から右副腎におよぶ浸潤性発育を示す腫癌が描出された.血管造影上,腫瘤はhypervascularで強い腫瘍濃染を示し,肝動脈造影ではarterio-portal shuntがみられるがencasementやstretchingは認められなかったため,胆管細胞癌よりもむしろ右副腎癌の肝浸潤の術前診断のもとに手術を行った.病理組織学的にはムチン産生と中等度結合織を伴う管状腺癌から成る胆管細胞癌であり,豊富な腫瘍血管の増生のため血管造影で特異な像を呈したものと思われた.
索引用語
peripheral type of intrahepatic bile duct carcinoma, hypervascular cholangiocellular carcinoma with arterio-portal shunts, right adrenal invasion
日消外会誌 24: 2442-2446, 1991
別刷請求先
川角 博規 〒695 江津市江津町1551番地 島根県済生会江津総合病院外科
受理年月日
1991年4月17日
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