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第24巻 第9号 1991年9月 [目次] [全文 ( PDF 534KB)]
症例報告

経十二指腸的膵管内カテーテルにより治癒せしめた外傷性主膵管損傷の1例

秋山 裕人, 新実 紀二, 横井 俊平, 津金 恭司, 岩田 博英, 鳥居 良彦, 鈴木 正康

愛知県厚生連安城更生病院外科

 ハンドル外傷による主膵管断裂を伴った膵頭部断裂を経験した.主膵管は修復不能であったが,経十二指腸的膵管内カテーテル挿入術が有効であったので報告する.症例は57歳男性.飲酒運転で衝突し腹部を打撲.受傷後16時間後に呼吸困難,心窩部痛,嘔吐のため救急車で来院した.諸検査より膵頭部損傷,腹腔内出血,外傷性膵炎と診断され緊急開腹術を行った.膵頭部前壁に上腸間膜静脈の露出を見る4 cmの断裂があり,主膵管は後壁がわずかに連続して6 mmにわたって欠損していた.膵管欠損部を橋渡しさせカテーテルを挿入固定後に膵実質断裂部を縫合し,カテーテルの他端を経十二指腸的に体外に誘導留置した.術後の膵液慶は難治であったが,治癒後の内視鏡的逆行性膵管造影で膵管の開存は十分に保たれた.本術式は膵の正常解剖と生理機能を温存でき,膵挫滅が軽度で主膵管の縫合再建困難な膵頭部損傷に有効であると考えた.

索引用語
traumatic disruption with ductal injury of the head of the pancreas

日消外会誌 24: 2447-2451, 1991

別刷請求先
秋山 裕人 〒446 安城市御幸本町12-38 愛知県厚生連安城更生病院外科

受理年月日
1991年4月17日

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