症例報告
結腸癌を伴った播種性糞線虫症の1例
大田 守雄, 大田 治, 金城 治, 大嶺 靖, 城間 寛, 喜名 盛夫, 古謝 景春, 草場 昭
琉球大学第2外科
今回,われわれは横行結腸癌を伴った播種性糞線虫症の1例を経験した.症例は69歳女性,主訴は腹部膨満感および腹痛.術前の注腸造影で,右側横行結腸癌を疑われた.入院直後より咳嗽が続くため喀痰検査を施行した.喀痰細胞診で糞線虫のフィラリア型幼虫およびラブジチス型幼虫を多数検出した.また,喀痰細菌培養検査ではグラム陰性桿菌(E.Coli)が検出された.播種性糞線虫症と診断し,内視鏡にて十二指腸下行脚より生検を施行,十二指腸粘膜の腺細胞および腺腔内に多数の虫体を認めた.thiabendazoleの内服を術前より開始し,手術は横行結腸部分切除術および人工肛門造設術を施行した.術後もthiabendazoleによる治療を引き続き行い,肺炎は軽快した.現在では流行地以外でも糞線虫症に遭遇する可能性があり本症に留意する必要がある.
索引用語
strongyloidiasis, thiabendazole, colon cancer
日消外会誌 24: 2476-2480, 1991
別刷請求先
大田 守雄 〒903-01 沖縄県西原町字上原207 琉球大学医学部第2外科
受理年月日
1991年4月17日
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