原著
胃全摘術後の空腸間置法とRoux-en Y法における胆道系酵素の変動
赤松 大樹, 亀頭 正樹, 大川 淳, 吉龍 資雄
市立芦屋病院外科
胃全摘術後の空腸間置術式はより生理的な再建法として近年多用されてきた.今回われわれは術後早期の胆道系に対する影響を明らかにするために,術後6か月までの胆道系酵素(ALP,γ-GTP,LAP)の変動を空腸間置法で再建された症例(A群,14例)とRoux-en Y法で再建された症例(B群,18例)の間で比較し,さらに術後遠隔期の超音波検査所見をあわせて検討した.その結果術後1週,術後1か月の早期においては,A群で胆道系酵素が有意の上昇を示した.それに対し,B群では術後全期間を通じて正常域であった.一方術後超音波検査においては両群とも胆石の発生および胆管拡張を認めず両群間に差はなかった.
今回観察された胆道系酵素の上昇は,空腸間置法で再建された場合に起こる術後早期の腸管間の協調運動の喪失が関係していると考えられるが,そのメカニズムおよび臨床的意義に関しては今後さらに検討が必要であると思われる.
索引用語
total gastrectomy, biliary system, gallstone
日消外会誌 24: 2498-2501, 1991
別刷請求先
赤松 大樹 〒659 芦屋市朝日ヶ丘町39-1 市立芦屋病院外科
受理年月日
1991年5月8日
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