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第24巻 第10号 1991年10月 [目次] [全文 ( PDF 462KB)]
症例報告

食道カルチノイドの1治験例

米川 甫, 島 伸吾, 寺畑 信太郎, 玉井 誠一, 田中 勧

防衛医科大学校第2外科, 同 検査部

 64歳の男性に発生した食道カルチノイド腫瘍の1例を報告した.患者の主訴は嚥下時痛で,上部消化管の検査で中部食道に潰瘍をともなう長さ5 cmの限局型の腫瘍が見いだされた.腫瘍の辺縁は粘膜を被りわずかに隆起し,潰瘍は浅く,底部は小結節状で易出血性であった.手術所見として腫瘍は食道外膜に浸潤し,上縦隔・肺門部にリンパ節転移が認められた.術式としては右開胸開腹・胸部食道全剔・胸骨後食道胃吻合術を施行した.
 切除標本の病理所見はcarcinoid tumor,外膜浸潤陽性(a2),脈管浸潤陽性(ly(+),v(+))で,リンパ節転移は上縦隔(#106),肺門部(#107),傍中部食道(#108),胃小弯(#3)に陽性であった.本例に対しては術後に50Gyの頸部.上縦隔照射を行ったが,患者は術後12か月で肺炎のため死亡した.

索引用語
carcinoid tumor, carcinoid tumor of the esophagus

日消外会誌 24: 2555-2559, 1991

別刷請求先
米川 甫 〒157 世田谷区大蔵2-10-1 国立大蔵病院外科

受理年月日
1991年6月5日

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