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第24巻 第10号 1991年10月 [目次] [全文 ( PDF 468KB)]
症例報告

同時性孤立性脾転移を伴った結腸癌の1例

溝井 賢幸, 大内 明夫, 椎葉 健一, 松野 正紀

東北大学第1外科

 脾臓にのみ孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は60歳,男性.上行結腸癌と脾腫瘍の診断で入院となったが,術前の画像診断では原発性か転移性かの鑑別は困難であった.開腹時の術中迅速病理診断で粘液癌と診断し,上行結腸癌の脾転移と考え,右半結腸切除術と脾摘術を施行した.術後9か月より血清CEA値の再上昇がみられるが,画像診断上再発は確認されていない.
 大腸癌の脾転移は頻度が低く,特に肝臓など他臓器に転移せず,脾臓にのみ転移した症例は極めてまれであり,文献上本症例も含め6例のみであった.脾転移の経路に関しては不明の場合が多いが,血行性転移が主であるとする意見もあり,本症例も血行性転移の可能性が高いと考えられた.文献上孤立性脾転移の切除予後は比較的良好であり,早期診断と積極的切除が重要と考えられた.

索引用語
splenic metastasis, colonic carcinoma

日消外会誌 24: 2584-2588, 1991

別刷請求先
溝井 賢幸 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科

受理年月日
1991年6月5日

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