特集
食道吻合部狭窄に対する内視鏡的拡張術の適応と限界
横畠 徳行, 竹島 寿男, 宮澤 幸久, 冲永 功太, 黒木 尚1), 森岡 恭彦1)
帝京大学第2外科, 東京大学第1外科1)
1982年から1991年2月までに経験した91例の食道吻合部狭窄症例を対象とし,ブジーとバルーンダイレイターを併用した内視鏡的拡張術の適応と限界を検討した.良性狭窄84例での有効例は80例95%で,このうち長期に経過を観察できたものはいずれも拡張術から離脱し,それに要した拡張術の平均回数は3.7回であり,食道切除で縫合不全のある症例では施行回数が多かった.拡張不能例は瘻孔形成例で瘻孔を拡大した1例のみであった.拡張困難例は3例でいずれも狭窄部の長いものであった.吻合部付近の癌再発による悪性狭窄7例では拡張不能2例,拡張困難4例,早期死亡1例で成績は不良であった.本法による合併症は輸血が必要な出血2例,一過性の発熱2例,頸部皮下膿瘍1例,瘻孔拡大1例,の計6例6.6%で重篤なものは無く,再手術を必要としたのは1例のみで,死亡例はなかった.以上より食道吻合部良性狭窄に対し本法は安全で有効な方法と考えられた.
索引用語
esophageal anastomotic stricture, balloon dilator, plastic bougie
日消外会誌 24: 2589-2593, 1991
別刷請求先
横畠 徳行 〒173 板橋区加賀2-11-1 帝京大学医学部第2外科
受理年月日
1991年7月3日
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