特集
食道癌に対する内視鏡的粘膜切除法の適応と限界
門馬 久美子, 吉田 操*
都立駒込病院内科, 同 外科*
食道癌切除例の検討から,ep~mm癌症例は,リンパ節転移がほとんどなく予後良好なため,局所治療のみにて根治が可能な疾患と考えられた.しかし,局所治療を行うには,ep~mm癌の正確な深達度診断が必要であり,この点から,上皮内癌と粘膜癌の深達度診断と局所治療を目的に,ep癌7例とmm癌3例,異型上皮2例に内視鏡的粘膜切除を行った.ep癌7例中1例は再生性の変化のみであり,癌巣は存在しなかった.異型上皮2例中1例にep癌が診断された.内視鏡的粘膜切除法は,切除組織の病理組織学的検討ができることから,ep・mm癌の正確な深達度診断と局所根治の判定,および追加治療の必要性が検討でき,診断困難な食道異型病変の確定診断にも有用な方法であった.
索引用語
endoscopic mucosectomy, intraepithelial cancer, mucosal cancer
日消外会誌 24: 2604-2609, 1991
別刷請求先
門馬久美子 〒113 文京区本駒込3-18-22 都立駒込病院内科
受理年月日
1991年7月3日
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