特集
胆嚢結石症に対する新しい治療法―腹腔鏡下胆嚢摘出術
大上 正裕, 有沢 淑人, 深川 裕明, 横山 勲, 松本 賢治, 納賀 克彦
川崎市立川崎病院外科
1990年7月より胆嚢結石症72例に対し,先端がflexibleな電子腹腔鏡を用いて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,良好な手術成績を得た.また術中胆道造影を施行し,総胆管遺残結石と術中胆道損傷がないことを確認した.全例,術後の疼痛は軽微で,腸蠕動の回復も早く,術翌日より食事を開始でき,1例の臍部の創感染を除いて術後平均5日で合併症なく軽快退院した.本法の適応は,急性炎症のない胆嚢結石症の患者で,上腹部開腹術の既往がなく,術前胆道造影検査で総胆管に結石を認めず,さらに胆嚢の描出が得られるものと考える,本法の利点は,1)術後の疼痛が軽微で,2)術後腸蠕動回復が早期なことより術翌日より食事が開始可能であり,3)早期退院,早期社会復帰が可能であり,4)創が極めて小さいことなどが挙げられる.適応を正しく選ぶことにより,本法は胆嚢結石症に対する侵襲の少ない優れた治療法となりうると考える.
索引用語
laparoscopic cholecystectomy, video laparoscope, cholecystolithiasis
日消外会誌 24: 2630-2634, 1991
別刷請求先
大上 正裕 〒210 川崎市川崎区新川通12-1 川崎市立川崎病院外科
受理年月日
1991年7月3日
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