特集
腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応と限界
酒井 滋, 山川 達郎, 石川 泰郎
帝京大学付属溝口病院外科
1990年5月29日から1991年2月までの約10か月間に教室を受診した胆嚢摘出術を要した患者は91症例あり,このうち56例(61.5%)が腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応となった.この56例の全てに本法を試み,52例(92.9%)が本法による胆嚢摘出に成功し,残る4例(7.1%)は術中に開腹術に変更された.開腹術に変更された理由は急性胆嚢炎1例,胆嚢管・胆嚢動脈の剥離困難1例,胆嚢周囲の高度の大網癒着2例であった.開腹術となった急性胆嚢炎の症例ではクリップが充分かからず胆嚢動脈が断裂したためであった.一方,本法の適応から除外された35例の理由は,総胆管結石の合併,急性胆嚢炎,上腹部の手術既往,胆嚢管の閉塞,Mirrizi症候群,胆道奇形,胆嚢結腸瘻等であった.
本法を施行する外科医は合併症を防ぐために術中対処困難な事態が生じた際は,開腹術へ変更することを躊躇すべきではない.
索引用語
laparoscopic cholecystectomy, indication, contraindication
日消外会誌 24: 2635-2639, 1991
別刷請求先
酒井 滋 〒213 川崎市高津区溝口74 帝京大学附属溝口病院外科
受理年月日
1991年7月3日
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