慢性膵炎の手術術式と合理的術式の選択

跡見　裕, 杉山　政則, 黒田　慧, 森岡　恭彦

東京大学第1外科

　自験慢性膵炎105例中外科的治療施行98例を対象とし，本症の手術適応ならびに病態に応じた合理的術式の選択について検討を加えた．98例の男女比は79：19，年齢は14～78歳（平均47.4歳）に亙り，40歳代が最も多く続いて50，30歳代であった．成因別頻度はアルコール性59，胆石性12，特発性およびその他27例で，膵石合併例は，アルコール性で56％，特発性・その他で33％，全症例中では98例中42例（43％）であった．最終術式は，主膵管の不整拡張例には膵管空腸吻合，仮性嚢胞合併例には嚢胞消化管吻合，膵癌疑診および膵尾部仮性嚢胞合併例には膵切除，主膵管非拡張例には病態に応じ，神経切除，および胆道系手術などが施行され，追跡調査ではほとんどが良好な日常生活を営んでいた．しかし，16例の死亡があり，死因は消化器癌とともに，糖尿病およびその管理に起因したものが多く，後者は慢性膵炎の外科治療上極めて重要な課題と考えられた．

索引用語
chronic pancreatitis, pancreaticojejunostomy, pancreatic stone, bile duct stricture, diabetes mellitus

別刷請求先
跡見　裕　〒113　文京区本郷7-3-1　東京大学医学部第1外科

受理年月日
1991年7月3日

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