特集
慢性膵炎の外科治療成績
黒田 嘉和, 竹山 宣典, 小野山 裕彦, 宮崎 直之, 山本 正博, 大柳 治正, 斉藤 洋一
神戸大学医学部第1外科教室
1971年1月より1990年12月までの慢性膵炎手術症例78例の外科治療成績について検討を加えた.疼痛改善は膵管空腸側々吻合術の81%,膵切除術の100%,のう胞ドレナージ術の91%,膵頭切離兼体尾部授動術の100%,胆道手術の100%にみられ,いずれの術式もほぼ満足すべき結果が得られている.術後耐糖能異常は膵管空腸側々吻合術の11%に対して膵切除術では35%にみられた.術後の社会活動では膵管空腸側々吻合術の19%に対して膵切除術では,35%の不良例がみられた.以上より慢性膵炎の外科治療の主目的である除痛に対しては,膵管拡張症例には膵管空腸側々吻合術を,膵管非拡張症例には膵頭切離兼体尾部授動術などの膵機能を温存した術式を選択すべきと考える.
索引用語
chronic pancreatitis, pancreaticojejunostomy, pancreatectomy
日消外会誌 24: 2650-2653, 1991
別刷請求先
黒田 嘉和 〒650 神戸市中央区楠木町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1991年7月3日
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