慢性膵炎に対する幽門輪温存膵頭十二指腸切除―われわれの改良術式について―

濱中　裕一郎, 川村　明, 西原　謙二, 西川　雅裕, 坂田　晃一朗, 鈴木　敞

山口大学第2外科

　慢性膵炎で膵頭部に嚢胞，結石を含む炎症性腫瘤が存在し，消化管または胆道狭窄を伴い，疼痛発作の反復するもの9例に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った．消化管切除範囲は十二指腸2部と3部の一部に留め，この十二指腸切除断端を端端に最口側につなぎ，以下病態に応じて3種類のBillroth I法方式の再建を使い分けた．とりわけ膵硬化が著しく，拡張した尾側膵管内にも結石が存在する場合には，十分なる減圧，除石，機能悪化防止などを期して残膵膵管を大きく開放し，十二指腸―胆―膵の順で，最肛側に膵管空腸側側吻合を造設した．全例軽快退院せしめ，除痛効果は88％に認められた．

索引用語
chronic pancreatitis, pylorus-preserving pancreaticoduodenectomy, modified reconstruction

別刷請求先
濱中裕一郎　〒755　宇部市小串1144　山口大学医学部第2外科

受理年月日
1991年7月3日

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