特集
慢性膵炎の外科治療と長期術後経過
中村 隆司, 網倉 克巳, 小針 雅男, 松野 正紀
東北大学医学部第1外科
慢性膵炎に対する外科治療の効果を,疼痛への効果および遠隔成績について検討しさらに成因,病態,術式別に累積生存率を求めた.対象は教室で経験した慢性膵炎手術例174例で計185回の手術が行われ,85%で疼痛が手術適応に関与した.術式は膵管像,炎症の局在,合併症などから厳密に決定したが,膵管空腸側側吻合術64回を含む膵管減圧手術が76回と多く,次いで膵切除術が58回,その他が51回であった.疼痛に対する効果は術式による差が無く,全体では消失70%,軽快26%,不変4%であった.遠隔成績も術式による差は無く全体で良好67%,やや良好18%であったが不良例も15%に認められそのほとんどがアルコール性であった.累積生存率は各術式,成因間では有意差ないが術前OGTTで糖尿病型の症例では5年で77%,10年で68%,15年で48%と低下し,境界型と正常型での20年にわたる80%以上の生存率とは著しい差が認められ,生命予後に糖尿病が最も影響することが明らかであった.
索引用語
chronic pancreatitis, surgical treatment, survival rate
日消外会誌 24: 2685-2688, 1991
別刷請求先
中村 隆司 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1991年7月3日
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