症例報告
胃カルチノイドの肝転移例2例とS状結腸癌併存の1例
浜田 弘巳, 安田 隆義, 勝木 良雄, 工藤 浩市, 山口 秀則, 辻 寧重, 西村 昭男
日鋼記念病院外科
胃カルチノイドの3例を経験したので報告する.年齢は52歳が1例,55歳が2例で,性別は全例男性である.主訴は心窩部痛あるいは心窩部不快感であった.術前診断可能例は1例のみであった.S状結腸同時性重複癌例が1例,肝転移は初回手術時,再発時に各1例認められた,手術は胃全摘を2例,胃亜全摘術を1例に施行し,S状結腸癌併存例ではS状結腸切除術を,同時性肝転移例では肝部分切除も施行した.組織学的に深達度は同時性肝転移例ではsm,ほかの2例はssβ,sであった.リンパ節転移,銀親和性細胞の出現が各2例に認められた.転帰は,1例が術後1年8か月時に肝再発し,増大しつつあるが術後4年の現在,担癌生存中で,他の2例は術後10か月,8か月の現在,再発なく健在である.本症では高率にリンパ節および肝転移が認められるため,手術は胃癌に準じた胃切除とリンパ節郭清が必要である.
索引用語
carcinoid of the stomach, liver metastasis of gastric carcinoid, gastric carcinoid accompanied with sigmoid colon carcinoma
日消外会誌 24: 2758-2762, 1991
別刷請求先
浜田 弘巳 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第1外科
受理年月日
1991年7月3日
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