症例報告
癌の悪性度診断と予後の相関を観察しえた胆管内発育型肝細胞癌の2切除例
岡本 篤武, 鶴田 耕二, 小野寺 時夫*
東京都立駒込病院外科, 東京都立府中病院*
肝2区域切除を施行した胆管内発育型肝癌の2例を報告した.1例は病理組織型は索状型,Edmondson分類III~IVで早期に残肝再発を認め,術後3か月で死亡した.1例は充実型,Edmondson分類II~IIIで術後7年に出血性肺炎で急死した.後者は術後1年7か月時に左肺転移巣に対し肺部分切除を,さらに術後3年時には食道静脈瘤のため右開胸食道離断術を施行された.剖検時には肝癌の再発は認められなかった.2例の肝癌の生物学的悪性度をAFP倍加時間と腫瘍細胞の核DNAヒストグラムを指標として検討した.早期死亡例はAFP倍加時間が27日であったのに対し,長期生存例は216日と長かった.核DNAヒストグラムは,前者はaneuploidであり後者はtetraploidであった.これらの差異は腫瘍の悪性度の相違を意味するものと考えられた.
索引用語
icteric type hepatoma, AFP-doubling time, DNA histogram
日消外会誌 24: 2773-2777, 1991
別刷請求先
岡本 篤武 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1991年7月3日
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