症例報告
腹腔内出血を契機に発見されたMeckel憩室原発平滑筋肉腫の1例
福田 直人, 石山 純司, 天野 仁, 望月 康久, 本田 拓, 石川 泰郎, 小林 俊介, 山川 達郎
帝京大学溝口病院外科
腹腔内出血を契機として発見されたMeckel憩室原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告した.症例は75歳,男性.突然の嘔吐,便失禁にて発症.腹腔内出血の術前診断にて緊急開腹術を行ったところ,回盲弁より80 cmの回腸に憩室を認め,その先端に6×6 cm,軟,被膜を有する腫瘍が存在し,その一部が破裂し腹腔内に約1,000 ml出血していた.腫瘍を含めて回腸部分切除し手術終了.病理検査では核の大小不同を示す異形性の強い紡鍾形細胞が増生し,平滑筋肉腫と診断された.本例は本邦5例目のMeckel憩室原発平滑筋肉腫であり,しかも腹腔内出血を併存したという点で非常にまれな症例であると考えられた.
索引用語
small intestinal tumor, leiomyosarcoma, Meckel's diverticulum
日消外会誌 24: 2787-2790, 1991
別刷請求先
福田 直人 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1991年6月5日
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