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第24巻 第11号 1991年11月 [目次] [全文 ( PDF 438KB)]
症例報告

虫垂原発悪性リンパ腫の1例

今井 直基, 田辺 博, 渡辺 進

総合木沢記念病院外科

 虫垂原発悪性リンパ腫の1例を経験したので,本邦報告例の検討を加えて報告した.
 症例は42歳,男性.下腹部痛を主訴として近医を受診し,急性虫垂炎と診断され当院を紹介された.虫垂穿孔性腹膜炎の診断で虫垂切除術を施行したところ,術後の病理学的検索でnon-Hodgkin's lymphoma,diffuse,large cell typeと診断された.根治術を目的として第10病日にR3リンパ節郭清を伴う右半結腸切除術を施行したが,切除標本のいずれにも悪性リンパ腫の所見を認めなかった.
 虫垂原発悪性リンパ腫はきわめてまれな疾患であり,本邦報告例は21例にすぎない.多くは急性虫垂炎の診断で手術がなされ,術後の病理学的検索で確定診断されていた.根治術がなされたものは7例(33.3%)のみであった.リンパ節転移陽性の9例中3例,陰性の8例中7例が生存中とされていた,治療は癌腫と同様に根治的切除が第1であり,症例により後療法が必要と考えられた.

索引用語
primary malignant lymphoma of the appendix, perforative appendicitis, right hemicolectomy with regional lymphnode excision

日消外会誌 24: 2800-2803, 1991

別刷請求先
今井 直基 〒503-13 岐阜県養老郡善老町押越986 岐阜県厚生連総合病院養老中央病院外科

受理年月日
1991年6月5日

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