症例報告
異時性に両側発生した閉鎖孔ヘルニアの1例
徳永 信弘, 篠原 央, 大西 英胤, 別所 隆, 栗原 博明, 森 光生, 郭 宗宏, 片田 夏也
国立大蔵病院外科
異時性に両側発生した閉鎖孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は85歳の女性で右大腿内側部痛を主訴に整形外科を受診したが腹部単純X線写真で鏡面像が認められ入院となった.保存的治療にて改善傾向なく右Howship-Romberg sign陽性のため右閉鎖孔ヘルニア嵌頓の術前診断にて開腹された.同症例は術後21週目に嘔吐と上腹部痛が出現し腸閉塞の診断で再入院となった.入院後今度は左大腿内側部痛を訴え再開腹が施行され左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断された.
閉鎖孔ヘルニアの異時性両側性発生の報告例は本例を含め4例で,いずれも術後6か月以内に対側の閉鎖孔ヘルニアを発症したと報告されている.閉鎖孔ヘルニアの開腹手術の際には対側の閉鎖管を検索すること,およびその対処が必要であると思われる.
索引用語
obturator hernia, strangulated intestinal obstruction, incarcerated hernia
日消外会誌 24: 2824-2826, 1991
別刷請求先
徳永 信弘 〒157 世田谷区大蔵2-10-1 国立大蔵病院外科
受理年月日
1991年7月3日
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