進行食道癌術前合併療法施行時の栄養管理

鍋谷　圭宏, 坂本　昭雄, 高石　聡, 櫻本　薫, 飯塚　浩, 兒玉　多曜, 神津　照雄, 小野田　昌一, 磯野　可一, 碓井　貞仁

千葉大学医学部第2外科, ^＊東邦大学医学部大橋病院第3外科

　進行食道癌92症例の術前合併療法施行時の栄養管理について，術前栄養状態維持と術後肺合併症発生の面からretrospectiveに検討した．高カロリー投与により術前栄養指標はほぼ正常域内の値が維持され，rapid turnover serum proteinの上昇により栄養状態の改善が示唆された．体重と血清総蛋白値の推移からは35 NPkca1/kg/day以上の維持投与カロリーが望ましいと思われ，照射により一過性に低下した免疫学的指標も術直前までに回復傾向を示した．しかし，血清アルブミン値の推移は，栄養管理法，投与カロリーの多寡に関わらず低下傾向で，70歳以上の症例では70歳未満の症例に比べて低値での推移であった．また，術直前の血清アルブミン値が3.5 g/dl未満の場合に，70歳以上の症例では70歳未満の症例に比べて高率に術後肺合併症を起こした．このことから，高齢者の術前栄養管理では，適切な投与カロリーの決定などさらに綿密に検討する必要があると考えられた．

索引用語
advanced esophageal cancer, preoperative combined therapy, nutritional management, hyperalimentation, postoperative pulmonary complication

別刷請求先
鍋谷　圭宏　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第2外科

受理年月日
1991年9月4日

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