原著
胸部食道癌に対する3領域リンパ節郭清後の再発に関する検討―特にリンパ節転移個数との関連について―
夏越 祥次, 島津 久明, 馬場 政道, 吉中 平次, 島田 麻里緒, 原口 優清, 白尾 一定, 田辺 元, 福元 俊孝, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
両側頸部を含む3領域のリンパ節郭清を施行して根治切除となった胸部食道癌97例のうち43例(44.3%)に再発がみられた.これらの症例を対象とし,手術時のリンパ節転移個数と再発の関連について検討した.再発例のうち,転移個数5個以下は25例,6個以上は18例であった.再発時期は5個以下に比べ6個以上では早期であり,1年以内に78%が再発していた.再発形式はリンパ行性再発21例,血行性再発15例,重複再発3例,その他4例であった.リンパ行性再発は,上縦隔の再発が多く,特にリンパ節転移(-)再発例の6例中4例は上縦隔再発であった.さらに6個以上(9例)で上縦隔左側に再発がみられた7例の全例に,手術時に同部位の転移を認めた.血行性再発の全例がリンパ節転移陽性で,15例中12例(80%)に2領域以上の転移を認めた.再発例の予後は不良であったが,特に重複再発例,転移6個以上の血行性再発例は不良であった.リンパ行性再発例では4年以上の生存例を4例に認めた.
索引用語
thoracic esophageal cancer, number of metastatic lymph nodes, lymph node dissection, recurrence of esophageal cancer
日消外会誌 24: 2888-2893, 1991
別刷請求先
夏越 祥次 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1991年9月4日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|