原著
Crohn病における胃酸分泌および消化管ホルモン分泌動態
福島 浩平, 佐々木 巌, 舟山 裕士, 内藤 広郎, 高橋 道長, 神山 泰彦, 柴田 近, 土井 孝志, 瀬上 秀雄, 岩附 昭広, 大谷 典也, 松野 正紀
東北大学第1外科
手術目的で入院したCrohn病症例30例に対しテトラガストリン刺激による胃液検査を行い,病変部位の長さや切除腸管の長さと胃酸分泌の関係を検討した.また,術後に食事負荷試験を行い血漿ガストリン値,GIP値,total-GLI値を測定した.その結果,術前のMAOで高酸を示し小腸病変の長さおよび切除腸管の長さとMAO,PAOの間に相関を認め,おのおの100 cmを超える症例では高酸を示した.血漿ガストリン値,GIP値,total-GLI値のいずれも対照群と比較し低値をとる傾向が認められたが,とくに小腸を100 cm以上切除された症例ではtotal-GLIの分泌量は対照群の2分の1であった.以上より,Crohn病の中でも小腸病変の高度な症例や小腸を大量に切除された症例では,術前後の胃酸分泌亢進に十分注意する必要があると思われた.また,この機序としてエンテログルカゴン,GIPなどの胃酸分泌抑制物質の減少が関与する可能性が示唆された.
索引用語
Crohn's disease, gastric acid secretion, gut hormone
日消外会誌 24: 2956-2962, 1991
別刷請求先
福島 浩平 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1991年9月4日
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