症例報告
開腹にて摘出した精神障害者における消化管異物の3例
加藤 俊二, 吉岡 正智, 田中 洋介, 橋本 正好, 樋口 勝美, 谷口 善郎, 長谷川 博一, 吉村 和泰, 恩田 昌彦1)
日本医科大学付属多摩永山病院外科, 日本医科大学第1外科1)
われわれは,基礎疾患に精神病を有する消化管異物の3例を経験した.
症例1は,45歳女性で分裂病にて他院入院中,自殺目的で単3乾電池12本を飲み込み来院した.症例2は,34歳女性で,てんかん,精神薄弱にて他院入院中,やはり自殺目的でヘアピンと手芸針を飲み込み来院した.症例3は26歳男性で,てんかん,精神薄弱を有し,腹部膨満,腹痛を主訴として来院,入院7日目にイレウスの診断にて開腹術を行った.この症例は飲み込んだゴム手袋とビニール布による小腸の単純性イレウスであったが,既往から異食症と診断された.3症例とも術後経過は順調で退院した.このような基礎疾患に精神病が認められる症例は臨床症状も不明瞭のことが多い,その手術適応の決定には慎重を要し,術前検査とともにとくに家族や関係者からの十分な問診が必要と考えられた.
索引用語
foreign body in the gastrointestinal tract, psychopathic patient, Pica
日消外会誌 24: 3017-3021, 1991
別刷請求先
加藤 俊二 〒206 多摩市永山1-7-1 日本医科大学附属多摩永山病院外科
受理年月日
1991年9月4日
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