症例報告
巨大結腸症を呈した慢性偽性腸閉塞症の1例
斎藤 拓朗, 江尻 友三*, 石井 俊一, 井上 仁, 元木 良一
福島県立医科大学第1外科, いわき市立常磐病院外科*
大腸壁在神経叢の萎縮と神経節細胞数の分節的減少が原因と考えられる巨大結腸症を呈した慢性偽性腸閉塞症の1例を経験したので報告する.
症例は57歳女性.幼少児からの排便異常はなし.腹部膨満と腹痛を主訴に来院し腸閉塞の診断で入院した.腹部は著明に膨隆し腹部単純X線像で上行結腸から横行結腸にかけて鏡面形成を伴う拡張を認め,注腸造影では口側結腸の拡張を伴う下行結腸の攣縮性狭小化を認めた.保存的治療に反応しないため拡張した横行結腸に人工肛門を造設し,2期的に人工肛門を含む横行結腸と狭小化した下行結腸を切除した.摘出標本に閉塞性病変はなく,病理組織学的検索で彎縮性狭小化を示した下行結腸に著明な腸管壁在神経叢の萎縮および神経節細胞数の減少が認められた.術後経過は良好で,術後10か月を経た現在も再発の兆候はない.
索引用語
chronic intestinal pseudo-obstruction, megacolon, colonic oligoganglionosis
日消外会誌 24: 3032-3036, 1991
別刷請求先
斉藤 拓朗 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
1991年9月4日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|