原著
漿膜下層浸潤胃癌の亜分類における組織学的浸潤増殖のstage決定因子としての妥当性に関する検討
岡村 健1), 楠本 哲也2), 古澤 元之助2), 林 逸郎3), 吉田 泰憲1), 江崎 卓弘1), 白日 高歩1)
産業医科大学第2外科1), 国立病院九州がんセンター消化器部外科2), 同 病理3)
ss胃癌203例(α39,β101,γ63)を対象とし,ssγのstage II決定因子としての妥当性を検討した.ss胃癌全体の術後生存曲線はpm(151例)とse(551例)胃癌の中間に位置し,両者に対し有意差を示したが,ssα,β,γ間には予後の差はなかった.3者の背景因子をみると,ssαではBorrmannIIIが少なく,腫瘍径が小さい点で,ssβ,ssγに対して有意差を示したが,予後と関係の深い因子であるリンパ節転移,脈管侵襲,腹膜播種,肝転移などの頻度は,3者間に有意差はみられなかった.治癒切険率もssα 82%(32/39),ssβ 86%(87/101),ssγ 89%(56/63)と3者間に大きな差はみられなかった.以上より,従来ssγをα,β と区別してstage分類していたが,これらを一括してssとし組織学的stage IIの決定因子としてもよいと考えられる.
索引用語
stage classification of gastric cancer, gastric cancer invading subserosa, subclassification of gastric cancer, prognosis of gastric cancer
別刷請求先
岡村 健 〒807 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学第2外科
受理年月日
1991年10月9日
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