原著
肝転移予防に対する持続門脈化学療法の実験的検討
石田 秀行, 岩間 毅夫, 西岡 良薫, 大久保 靖, 今城 眞人, 三島 好雄
東京医科歯科大学第2外科
肝転移に対する予防的門脈化学療法の有効性について,ドンリュウラットを用いて実験的に検討し,以下の結果を得た.(1)5-Fu 20 mg/kg/日を腸間膜静脈より持続投与した場合,同量の5-Fuを大腿静脈から持続投与した場合に比べ5-Fu濃度は門脈本幹で8.5倍,尾静脈で0.45倍であった(6時間時).(2)経門脈的に腹水肝癌AH60C 4×106個を移植した肝転移モデルに対する転移抑制効果(転移容積)の比較では,5-Fu(20 mg/kg/日)+heparin(100 u/kg/日)持続門注(移植当日より5日間)群にのみ,無治療群に比べ,有意な(p<0.01)転移抑制効果が認められたが,5-FU+heparin持続静注群やheparin単独持続門注群には肝転移抑制効果は認められなかった.5-Fuの持続門脈内投与は癌細胞の肝内着床を著明に阻止し,しかも全身へ与える影響が少ない有効な予防的局所化学療法と考えられた.
索引用語
prevention of liver metastasis, prophyractic portal vein chemotherapy, 5-fluorouracil, Heparin, cancer of digestive organs
別刷請求先
石田 秀行 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第2外科
受理年月日
1991年10月9日
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