実験的膵十二指腸切除後の消化管再建術式と脂肪の消化吸収および消化管ホルモン分泌動態について

今村　幹雄, 山内　英生

国立仙台病院外科

　膵十二指腸切除後の消化管再建術式としてBillroth I法形式の新たな方法を考案し，術後の栄養状態および消化管ホルモン分泌などの面から実験的に検討した．ピーグル成犬10頭を用いて膵十二指腸切除後，われわれの方法（以下，改良法）とChild法の2種の消化管再建を行った．改良法では残胃は空腸口側端と端々吻合し，また，小腸中間部15 cmを挙上し，膵および胆嚢と空腸起始部との間に間置した．術後，体重は両群で減少したが，Child法では改良法より有意に低値にあった．経口的バター負荷時の血中TG増加量は改良法で大きい傾向を示した．CCKおよびセクレチン値は空腹時，バター負荷後とも術前より高値を示し，かつ，改良法でChild法より高値にあった．術後6か月間の死亡率および罹病率とも改良法で低率であった．以上より，われわれの考案した消化管再建術式は従来のChild法より優れており，十分，臨床応用に耐えられると考えられた．

索引用語
pancreatoduodenectomy, alimentary tract reconstruction, nutrition, gastrointestinal hormone release

別刷請求先
今村　幹雄　〒983　仙台市宮城野区宮城野2-8-8　国立仙台病院外科

受理年月日
1991年10月9日

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