原著
表面隆起陥凹型早期大腸癌17例の臨床病理学的検討
藤吉 学, 高野 正博, 藤好 建史, 高木 幸一, 辻 順行, 濱田 映, 佐々木 俊治
大腸肛門病センター高野病院
過去7年間に早期大腸癌324例を経験し,表面隆起陥凹型は17例5.2%であった.今回,これら表面隆起陥凹型と診断した早期大腸癌の臨床病理学的特徴と治療方針について検討した.これらの中には粘膜内癌と粘膜下浸潤癌が存在したが,その違いを肉眼形態に着目すると,中心に明らかな潰瘍を有する隆起潰瘍型と,周囲の隆起部と隆凹部の肉眼的性状が同じ隆起陥凹型に分類可能であった.隆起潰瘍型の8例はすべて粘膜下浸潤癌で脈管侵襲,リンパ節転移,肝転移が高頻度であった.一方,隆起陥凹型を9例に認め,うち粘膜内癌7例,粘膜下浸潤癌2例であった.したがって表面隆起陥凹型を2亜型に分類することは臨床的に有意義であり,隆起潰瘍型はリンパ節や肝転移の高危険群として取扱われるべきであるが,隆起陥凹型には粘膜内癌が存在することも念頭におき,治療に当たることが重要と考えられた.
索引用語
early colorectal cancer, flat elevation with central depression type (IIa+IIc type)
別刷請求先
藤吉 学 〒862 熊本市帯山4-2-88 大腸肛門病センター高野病院
受理年月日
1991年10月9日
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