原著
絞扼性イレウスにおける腸管切除の必要性の術前予測
川平 洋一, 藤田 修弘, 中尾 量保, 濱路 政靖, 前田 克昭, 西村 正, 仲原 正明, 岸本 康朗, 荻野 信夫, 中 好文, 長谷川 順一, 米田 光宏, 打越 史洋, 数尾 展, 前田 晃
大阪警察病院救急外科, 外科
絞扼性イレウスにおける腸管循環障害の重症度と腸管切除の必要性を予測することは容易ではない.われわれは過去12年間に当院救急外科に来院した絞扼性イレウス65例を対象とし,多変量解析を用いてその可能性を検討した.腸管切除群35例と腸管非切除群30例の2群に分け,各術前因子を比較した.また,各術前因子から腸管切除長,腸管切除の必要性を解析した.結果:体温,白血球数,核の左方移動率,Creatinine Phosphokinase値,血糖値の5因子において,腸管切除群は非切除群に比べ有意に高値を示した.重回帰分析では腸管切除長は白血球数,核の左方移動率,CPK値と有意に重相関し,このうちCPK値が最も相関に寄与していた.また,体温,CPK値,血糖値の3因子からなる判別式が算出され,その正判別率は90.9%であった.これら術前5因子は絞扼性イレウスにおける腸管切除の必要性を判別し,術前における腸管循環障害の重症度を推定する指標となることが示唆された.
索引用語
strangulation ileus, prediction of intestinal ishcemia, multi-variate analysis
別刷請求先
川平 洋一 〒543 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科
受理年月日
1991年10月9日
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