多施設共同研究による一般外科手術症例に対するリコンビナント・ヒト・エリスロポエチン術前・術後投与の検討

吉田　奎介, 武藤　輝一^1）, 森　昌造, 西平　哲朗^2）, 奥井　勝二, 田代　亜彦^3）, 森岡　恭彦, 武藤　徹一郎, 鈴木　公孝^4）, 阿部　令彦, 上田　政和^5）, 鶴丸　昌彦, 宇田川　晴司^6）, 森　武貞, 上林　純一^7）, 杉町　圭蔵, 橋爪　誠^8）, 島津　久明, 高尾　尊身^9）

r-HuEPO外科術後貧血研究会, 新潟大学医学部第1外科^1）, 東北大学医学部第2外科^2）, 千葉大学医学部第1外科^3）, 東京大学医学部第1外科^4）, 慶應義塾大学医学部外科^5）, 虎の門病院消化器外科^6）, 大阪大学医学部第2外科^7）, 九州大学医学部第2外科^8）, 鹿児島大学医学部第1外科^9）

　リコンビナント・ヒト・エリスロポエチン（r-HuEPO）を消化器癌を中心とする一般外科手術例に200 IU/kg術前7日間，術後14日間連日投与し周術期輪血量節減への有用性を検討した．1．術前投与で末梢血ヘモグロビン濃度，ヘマトクリット値，赤血球数は有意に上昇した．2．r-HuEPO投与により術後貧血は第4病日以後順調に回復し，対照群に比べその回復は有意に良好であった．3．副作用としては感冒様症状，肝機能障害，発熱，および発疹が各1例（5.9％）に認められたが重篤なものはなかった．他の92.2％では副作用や臨床検査値異常は認められず，r-HuEPOは周術期にも安全に投与出来るものと思われた．以上より，一般外科領域でもr-HuEPO投与は術前，術後の貧血改善に有効であり，その適切な応用により周術期輸血の節減が可能と考えられた．

索引用語
anemia, postoperative anemia, erythropoietin

別刷請求先
吉田　奎介　〒951　新潟市旭町通一番町757　新潟大学医学部第1外科

受理年月日
1991年10月9日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です