症例報告
肝切除の工夫―Hemoclipを用いた肝内亜区域境界面の同定―
坂入 隆人, 児島 哲文*, 下沢 英二*, 加藤 紘之*, 田辺 達三*
斗南病院外科, 北海道大学医学部第2外科*
肝細胞癌に対する系統的亜区域切除術は,担癌亜区域を切除することにより,亜区域内に存在する可能性が高い門脈腫瘍栓や肝内転移を主腫瘍とともに切除する方法である.亜区域の同定のために支配門脈技に染色剤が穿刺注入されるが,肝表面においては亜区域の染色同定は可能なものの,肝内部における隣接亜区域や区域との境界面は不明である.
われわれは術中超音波誘導下に肝表面からSurgiclip®を肝実質内に刺入し,担癌領域支配門脈枝を遮断して門脈血流の逆流ならびにwash outを防いだ後,遮断部より末梢側門脈技に染色剤を十分量注入して,肝表面および肝内部における亜区域の境界面を明瞭に染色する方法を考案した.5例の肝細胞癌亜区域切除症例に応用したが有効な方法であった.
索引用語
systematic subsegmentectomy, identification of the intersubsegmental plane in the liver, complete removal of the subsegment
別刷請求先
坂入 隆人 〒060 札幌市中央区北1条西6丁目 斗南病院外科
受理年月日
1991年10月9日
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