症例報告
肝内結石に併存した肝内胆管癌の1例
瀬戸 啓太郎1), 芦田 義尚1), 喜多 一郎1), 高島 茂樹1), 2), 木南 義男1), 2)
金沢医科大学一般消化器外科1), 同 総合医学研究所がん研究部門2)
肝内結石症に併存した胆管細胞癌の44歳の男性例を経験した.患者は持続する左季肋部痛および39℃の発熱を呈して受診し,超音波検査,内視鏡的逆行性胆管造影,computed tomography検査にて外側区域の腫瘤および内側区域の肝内結石症と診断された.肝内結石症と術中迅速病理診断にて診断された胆管細胞癌に対し肝左葉切除術を施行した.腫瘍部の肝内胆管中の胆汁酸組成を高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ,chenodeoxy cholic acid分画が60%であり,cholic acid分画は29.4%であった.また,glycineとtaurineの抱合比は2.1であった.これらの結果より,本症の病態および病因に胆汁酸も何らかの影響を与えているのではないかと考えられたので,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
hepatolithiasis, cholangiocarcinoma, bile acid
別刷請求先
瀬戸啓太郎 〒920-02 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学一般消化器外科
受理年月日
1991年10月9日
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