早期胆嚢癌―臨床病理学的にみた診断ならびに治療上の問題点―

吉田　奎介

新潟大学医学部第1外科

　胆嚢早期癌95例，109病変（深達度粘膜内＜m癌＞86例，100病変，固有筋層内＜pm癌＞9例，9病変）の病理学的特徴と予後から，治療方針を検討した．
　1．肉眼型：109病変の肉眼型別頻度は，隆起型40.4％，IIa型28.4％，IIb型31.2％であった．表面型の術前診断率はIIa型11.1％，IIb型3.6％と低く，術中肉眼診断の重要性が確認された．
　2．組織学的所見と予後：68例に単純胆摘例術，27例に根治手術が施行された．m癌，pm癌とも5生率100％であったが，胆嚢管断端に癌陽性の2例が術後5年以降に再発死亡した．リンパ節転移は全例で陰性，組織学的浸潤因子ではpm癌の1例にのみly₁を認めた．
　3．治療方針：画像と術中所見で早期癌疑診の時，腺腫内癌以外では進行癌との鑑別が困難なため標準的胆嚢癌根治手術が必要であり，胆摘後組織学的診断例では，m癌では胆嚢管断端癌陽性の時のみ，pm癌では原則的に2期的根治手術の適応と考えられた．

索引用語
carcinoma of the gallbladder, early carcinoma, radical cholecystectomy

別刷請求先
吉田　奎介　〒951　新潟市旭町通1番町757　新潟大学医学部第1外科

受理年月日
1991年10月9日

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