卒後教育セミナー
進行胆嚢癌の進展度診断と手術術式の選択
二村 雄次
名古屋大学医学部第1外科
進行胆嚢癌の進展様式は,1.肝床浸潤型,2.肝門浸潤型,3.肝床肝門浸潤型,4.リンパ節転移型,5.その他に分類されるが,各種画像診断法を組み合わせてその進展度診断を行う.肝内進展,リンパ節転移の診断には超音波検査,CT,十二指腸浸潤には低緊張性十二指腸造影,超音波内視鏡検査,胆管浸潤には経皮経肝胆管ドレナージ後の選択的胆管造影や経皮経肝胆道鏡検査,血管浸潤には肝動脈造影,経皮経肝門脈造影が有用である.胆嚢癌は原発巣の位置,浸潤様式によりさまざまな進展を呈するという事実を知った上でこれらを術前診断し,進展度に見合った切除術式を立案する必要がある.肝床浸潤型に対する肝区域切除,肝門浸潤型に対する尾状葉切除を伴う拡大肝右葉切除が基本術式となり,膵,十二指腸にまで高度に進展した症例には肝膵十二指腸切除(HPD)が適応されるが,手術侵襲が大きく,high riskの手術の場合,合併切除は必要最小限に留めるべきである.
索引用語
gallbladder carcinoma, preoperative diagnosis of gallbladder carcinoma, extended operation for gallbladder carcinoma
別刷請求先
二村 雄次 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1991年10月9日
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