原著
ヒト胃癌におけるepidermal growth factor receptorとtransforming growth factor α産生に関する免疫組織化学的検討
加藤 道男, 吉川 恵造, 島田 悦司, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
ヒト胃癌組織を用いて免疫組織化学的にepidermal growth factor receptor(EGFR)とtransforming growth factor α(TGF-α)を認めた腫瘍の病理組織学的特徴を検索した.
EGFRは凍結切片に抗EGFRモノクローナル抗体を,TGF-αはパラフィン切片に抗TGF-α抗体を用いて染色し,病理学的所見と比較した.
その結果,ECFR陽性例は69例中18例(22.8%)で,分化型癌には49例中17例(43.7%)と多かった.またTGF-α陽性例は86例中24例(27.9%)で,未分化型癌には38例中18例(47.4%)と多かった.そして両者の検討が可能であった36例ではEGFR陽性でTGF-αも認めた症例は3例(8.3%)ですべて進行癌であった.
したがって,EGFRは胃癌細胞の分化度と関連し,分化型胃癌増殖にEGFが影響を与える可能性が考えられた.またEGFR陽性腫瘍にTGF-α産生細胞を認めたことから,ヒト胃癌にもautocrine mechanismで増殖する腫瘍のあることが示唆された.
索引用語
gastric cancer, immunohistochemistry, epidermal growth factor receptor, transforming growth factor α, autocrine mechanism
別刷請求先
加藤 道男 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1991年10月9日
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