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第25巻 第3号 1992年3月 [目次] [全文 ( PDF 774KB)]
原著

Serum protein profileによる手術侵襲に対する生体反応力の術前評価

藤田 哲二

東京慈恵会医科大学第1外科(指導:桜井健司教授)

 消化器外科手術患者50名を対象として,各種血清蛋白の値(serum protein profile)により術前栄養評価を行い,術後感染症の発生率との関連を検討した.次に対象患者のなかから補体第3因子(C3),ハプトグロビン(Hp)がともに正常である患者16名と,ともに低下している14名との間で,手術後の生体反応の強弱を比較し,以下の結論を得た.
 1)C3,Hp,プレアルブミンのいずれかが低値の患者は39名(78%)にも達し,これらの患者では術後感染症の発生が有意に多かった.
 2)術前に血清C3およびHp値がともに低下していた患者では,術後,血清C反応性蛋白,α1酸性糖蛋白の上昇が有意に抑制された.
 これより,術前C3,Hpなどのpositive acute phase proteinが低い患者では,侵襲に対する生体反応力の一部が障害されていると考えられ,消化器外科手術患者の術前栄養評価には,negative acute phase proteinのほかにこれらの蛋白の測定も加えるべきである.

索引用語
serum protein profile, response to surgery, third component of complement, haptoglobin, malnutrition

日消外会誌 25: 834-841, 1992

別刷請求先
藤田 哲二 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科

受理年月日
1991年11月20日

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