原著
Serum protein profileによる手術侵襲に対する生体反応力の術前評価
藤田 哲二
東京慈恵会医科大学第1外科(指導:桜井健司教授)
消化器外科手術患者50名を対象として,各種血清蛋白の値(serum protein profile)により術前栄養評価を行い,術後感染症の発生率との関連を検討した.次に対象患者のなかから補体第3因子(C3),ハプトグロビン(Hp)がともに正常である患者16名と,ともに低下している14名との間で,手術後の生体反応の強弱を比較し,以下の結論を得た.
1)C3,Hp,プレアルブミンのいずれかが低値の患者は39名(78%)にも達し,これらの患者では術後感染症の発生が有意に多かった.
2)術前に血清C3およびHp値がともに低下していた患者では,術後,血清C反応性蛋白,α1酸性糖蛋白の上昇が有意に抑制された.
これより,術前C3,Hpなどのpositive acute phase proteinが低い患者では,侵襲に対する生体反応力の一部が障害されていると考えられ,消化器外科手術患者の術前栄養評価には,negative acute phase proteinのほかにこれらの蛋白の測定も加えるべきである.
索引用語
serum protein profile, response to surgery, third component of complement, haptoglobin, malnutrition
別刷請求先
藤田 哲二 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1991年11月20日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|