症例報告
肝転移,肺転移巣に由来すると思われる血清carcinoembryonic antigenのダブリングタイムを比較できた再発胃癌の1例
梅原 靖彦, 木村 泰三, 吉田 雅行, 大場 範行, 桜町 俊二, 松田 寿夫, 高林 直記, 和田 英俊, 原田 幸雄
浜松医科大学第1外科
肝転移,肺転移巣に由来すると思われる血清carcinoembryonic antigen doubling time(CEA DT)を時期を隔てて算出し比較できた再発胃癌症例を経験した.
症例は58歳の女性で,幽門部のBorrmann 3型胃癌に対し胃亜全摘,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後1年目に血清CEA値の上昇を認め,肝転移の診断にて肝部分切除術を施行した.その時のCEA DTは40日であった.その1年8か月後,再度血清CEA値の上昇を認め,肺転移の診断のもとに肺部分切除術を施行した.その時のCEA DTは84日であり,肝転移の2倍の長さであった.腫瘍マーカーダブリングタイムが腫瘍発育速度をある程度反映することを前提として,転移巣の発育速度を比較した結果,同一症例においても増殖基盤となる転移臓器により発育速度が異なることが示唆された.
索引用語
liver and lung metastases of gastric cancer, doubling time of carcinoembryonic antigen, growth rate of gastric cancer metastasis
別刷請求先
梅原 靖彦 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第1外科
受理年月日
1991年11月20日
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