症例報告
自然破裂をきたした異所性肝細胞癌の1例
千田 禎佐緒, 豊島 隆*, 福田 健*, 小野地 章一*, 中島 規道**, 浅沼 義博, 小山 研二
秋田大学医学部第1外科, 仙北組合総合病院外科*, 中島内科医院**
症例は59歳男性,ショック状態にて緊急入院し,超音波検査で腹腔内に液体貯留を認め,腹腔穿刺にて血性腹水を得た.腹腔内出血による出血性ショックと診断し,緊急開腹手術を施行したところ,腹腔内には約2.500 mlの出血があり,左三角靭帯内に破裂した腫瘤を認めた.腫瘤は肝臓と連続性がなく,組織学的にEdmondson II型の肝細胞癌と診断された.左三角靭帯内に発生した異所性原発性肝細胞癌が自然破裂したものと考えられた.異所性肝細胞癌はきわめてまれであり,本邦ではこれまで3例の報告がなされているのみである.
索引用語
ectopic hepatocellular carcinoma, ectopic liver, spontaneous rupture of ectopic hepatocellular carcinoma
別刷請求先
千田禎佐緒 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1991年11月20日
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