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第25巻 第3号 1992年3月 [目次] [全文 ( PDF 544KB)]
症例報告

分節胆嚢に併存し特異な発育を示した胆嚢癌の1切除例

板倉 淳, 深沢 智基, 飯室 勇二, 石川 徹, 酒井 敬介, 松本 由朗, 茂垣 雅俊, 須田 耕一

山梨医科大学第1外科, 同 第1病理

 膵・胆管合流異常とともに胆嚢形成異常(分節胆嚢)に併存し,特異な発育を示した胆嚢癌の1例を経験したので報告する.症例は68歳,主婦,集団検診で胆嚢ポリープを指摘され5か月後に右季肋部痛が出現,精査の結果胆嚢癌,膵・胆管合流異常と診断され,拡大胆嚢摘出術(肝床切除術を伴う胆嚢摘出術・R2リンパ節郭清を施行),胆管切除・総肝管空腸吻合術を施行.摘出標本では胆嚢内腔は隔壁様の構造物により胆嚢体部で底部側と頸部側に2分され,その底部側胆嚢内腔は乳頭状に発育した腫瘍によって占められていたが,頸部側胆嚢内腔粘膜は正常であった.病理組織学的には底部側胆嚢壁に腺管構造・Rokitansky-Aschoff洞の増生,残存粘膜の異型性変化と散在性の癌病巣を認めたが,頸部側胆嚢粘膜はほぼ正常であった.以上,胆嚢の形態的な異常と病理組織所見より本症例の癌発生に膵・胆管合流異常とともに分節胆嚢の関与が示唆された.

索引用語
carcinoma of the gallbladder, gallbladder with partial transverse septum, anomalous arrangement of the pancreatico-biliary ductal system

日消外会誌 25: 881-885, 1992

別刷請求先
板倉 淳 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科

受理年月日
1991年10月9日

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