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第25巻 第3号 1992年3月 [目次] [全文 ( PDF 564KB)]
症例報告

下大静脈右側のリンパ節に転移を認めた胆嚢癌の1切除例

白井 良夫, 吉田 奎介, 塚田 一博, 内田 克之, 黒崎 功, 大谷 哲也, 武藤 輝一, 大渓 秀夫

新潟大学第1外科, 大渓医院(元・立川綜合病院外科)

 大動脈周囲リンパ節のうち下大静脈の右側に存在する傍下大静脈リンパ節に転移を認めた進行胆嚢癌の1切除例を報告した.
 患者は71歳,女性で十二指腸,大網,横行結腸に直接浸潤するStage IV胆嚢癌に対し胆嚢摘除+肝床切除+肝外胆管切除+膵頭十二指腸切除+横行結腸部分切除(R3)が施行された.術後の病理検索で1群,2群の所属リンパ節には転移が全く見られなかったが,14aリンパ節および傍下大静脈リンパ節に転移を認めた.
 14aリンパ節,傍下大静脈リンパ節は十二指腸の所属リンパ節と考えられ,この跳躍転移は十二指腸へ直接浸潤した癌が十二指腸の所属リンパ節に転移したものと推測された.
 他臓器浸潤癌は被浸潤臓器の所属リンパ節にも転移する可能性が示唆されたことより,他臓器浸潤癌に対する根治術の際には被浸潤臓器の所属リンパ節をも考慮して術式を決定すべきと考えられた.

索引用語
gallbladder neoplasms, lymph node metastasis, radical surgery for gallbladder carcinoma

日消外会誌 25: 891-895, 1992

別刷請求先
白井 良夫 〒951 新潟市旭町通1番町757 新潟大学医学部第1外科

受理年月日
1991年11月20日

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