脾海綿状血管腫の1例

澤井　照光, 國崎　忠臣, 中尾　治彦, 新宮　浩, 石橋　経久, 菅村　洋治, 鳥越　敏明, 富田　正雄^＊, 関根　一郎^＊＊

佐世保中央病院外科, 長崎大学第1外科^＊, 長崎大学原研病理^＊＊

　脾に発生する腫瘍はまれであるが，その中にあっては血管腫の頻度は高く，本邦では現在までに65例の臨床報告がなされている．今回われわれは，脾海綿状血管腫の1切除例を経験したので，その画像診断上の特徴を中心に，若干の文献的考察を加えて報告する．
　症例は63歳女性で，主訴は上腹部もたれ感，全身倦怠感，体重減少である．生化学的検査では，car-cinoma associated antigen 125は，94.2 U/mlと高値を示していた．腹部エコーでは，後壁エコーの増強を伴ったhypoechoicな腫瘤で，一部hyperechoicな管状構造が認められた．Computed tomogra-phyでは，造影効果を伴わない低吸収域であり，血管造影でも類円形の無血管野として描出された．脾臓摘出術を行ったところ，腫瘤は3.6×3.5 cmの多胞性嚢胞で，内容液は血性であり，病理組織学的には海綿状血管腫と診断された．

索引用語
hemangioma of the spleen, cavernous hemangioma, splenic cyst

別刷請求先
澤井　照光　〒852　長崎市坂本町7-1　長崎大学医学部第1外科

受理年月日
1991年11月20日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です