症例報告
小腸穿孔をきたしたCrohn病の1手術例
仁科 雅良, 荻野 隆光, 藤井 千穂
川崎医科大学救急医学
42歳の男性が,突然激しい腹痛が出現したため当科へ搬入された.なお患者は約11年前からCrohn病のため,サラゾスルファピリジン,プレドニゾロン, カナマイシンを内服していた.また6年前から小腸造影で小腸の狭窄とその口側の拡張を指摘されていた.来院時,腹部は平坦で硬く,白血球は9,000/mm3,腹部単純X線撮影で明らかなfree airを認めたため,緊急手術を施行した.小腸の拡張部の腸間膜付着反対側に直径約1 mmの穿孔を認めた.小腸を80 cm切除し端々吻合を行った.切除標本では狭窄と縦走潰瘍が認められ,組織所見では肉芽腫を伴った炎症細胞浸潤の所見であった.術後経過は良好で,第62病日退院した.Crohn病の長期治療中には,穿孔の危険性も考慮すべきであることを示した症例である.
索引用語
free perforation of regional enteritis, Crohn's disease
別刷請求先
仁科 雅良 〒701-01 倉敷市松島577 川崎医科大学救急医学
受理年月日
1991年11月20日
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