症例報告
経仙骨的直腸粘膜環状抜去術による直腸孤立性潰瘍症候群の1治験例
川口 義弥*, 西川 俊邦, 前谷 俊三, 戸部 隆吉
京都大学医学部第1外科, (*現:倉敷中央病院外科)
直腸孤立性潰瘍症候群に対し,経仙骨的に広範な直腸粘膜環状抜去術を施行した症例を報告する.症例は20歳男性で,8年前から持続する血便,粘液便,裏急後重を訴え,内科治療や排便時のいきみを控えても軽快しなかった.下部直腸に多発する隆起性病変を認め,生検にて粘膜固有層のfibromus-cular obliterationの所見を得,直腸孤立性潰瘍症候群と診断した.術式は経仙骨的に直腸後壁を切開後,粘膜のみを環状に剥離後切除し,露出した直腸筋層を縦に縫縮後,粘膜断端を再吻合した.術後の直腸肛門内圧測定でも異常は認められず,患者は術後25か月現在無症状である.本症例はこの術式で治癒した第2例目である.
索引用語
solitary rectal ulcer syndrome, transsacral proctomucosectomy, mucosal prolapse syndrome
別刷請求先
川口 義弥 〒710 倉敷市美和1-1-1 倉敷中央病院外科
受理年月日
1991年11月20日
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