胆嚢黒色石を伴う原発性純コレステロール肝内結石症の1例

井上　慎吾, 国友　和善, 鈴木　哲也, 三浦　和夫, 板倉　淳, 松本　由朗

山梨医科大学第1外科

　症例は50歳男性で，右季肋部痛を主訴とし，腹部超音波検査にて胆嚢，肝内結石症を指摘された．ERCPでは肝外側区域胆管に狭窄を伴わない限局性の紡錐状拡張を認めた．胆摘，肝外側区域切除術を施行した．摘出標本で，胆嚢内には黒色で割面が無構造な小結石を認めた．肝臓には萎縮はなく，拡張胆管内に黒色泥状の結石が充満し，組織学的には軽度の胆管壁の肥厚を認めるのみで，慢性増殖性胆管炎の像を認めなかった．結石分析の結果では胆嚢結石は炭酸カルシウム，ビリルビンカルシウム， リン酸カルシウムを含有し黒色石と診断した．肝内結石はコレステロールのみを含有しており純コレステロール結石と診断した．両結石形成の機序およびその関連性については不明であるが，われわれの文献検索の範囲内ではこのような症例は見られず，きわめてまれな1例と考えられる．

索引用語
intrahepatic pure cholesterol stone, black stone in the gallbladder

別刷請求先
井上　慎吾　〒409-38　山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110　山梨医科大学第1外科

受理年月日
1991年12月10日

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