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第25巻 第4号 1992年4月 [目次] [全文 ( PDF 494KB)]
症例報告

先天性胆管拡張症に合併した早期胆管癌の1例

田中 信孝, 登 政和, 柚本 俊一, 森 潔, 出口 順夫, 岡本 宏之, 松本 順, 中島 透

旭中央病院外科, 帝京大学市原病院病理

 いわゆる早期胆管癌を合併した先天性胆道拡張症(CBD)の1例を経験した.症例は57歳,女性で上腹部痛を主訴として来院.10年来,当院内科にて膵管胆管合流異常を伴う総胆管嚢腫の診断のもと経過観察していたが,腹部超音波検査,逆行性膵管胆管造影などで嚢腫内に腫瘤陰影を認めたため,総胆管癌を合併せるCBDの診断のもと手術施行した.術中診断では腫瘤を認めず,迅速病理検査でも良性と判断されたため,嚢腫切除にとどめた.切除標本の病理組織検査ではfmまでの浸潤を示す高分化型管状腺癌の微小病変を2か所に認めた.患者は術後1年2か月の現在再発の徴候なく健在である.
 本邦での早期胆管癌合併CBD手術例の報告は本例を含めいまだ24例であるが,症例をさらに積み重ね長期予後を検討することで,適切な術式の選択が可能となるものと考えられた.

索引用語
early bile duct cancer, congenital bile duct dilatation, maljunction of the pancreatobiliary system

日消外会誌 25: 1109-1113, 1992

別刷請求先
田中 信孝 〒289-25 旭市イ-1326 旭中央病院外科

受理年月日
1991年12月10日

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