原著
大腸癌肝転移と血清laminin濃度の関係に関する研究
泉 公成
東京女子医科大学第2外科(指導:浜野恭一教授)
大腸癌症例154例の末梢血および49例の灌流血中の血清laminin濃度を測定し,異時性肝転移予知因子としての血清laminin濃度を評価検討し,以下の結果を得た.1)肝転移症例の血清laminin濃度は非肝転移症例と比較して有意(p<0.001)に高値を示した.2)壁深達度ss(al)以上の症例の血清laminin濃度は,pm以下の症例と比較して有意(p<0.001)に高値を示した.3)リンパ管侵襲ly 1~3症例の血清laminin濃度は,ly0症例と比較して有意(p<0.001)に高値を示した.4)静脈侵襲程度に相関して血清laminin濃度は有意(p<0.001)に上昇した.5)肝転移症例,高度静脈侵襲(v2v3)症例において灌流静脈血中laminin濃度が末梢血よりも高い傾向がみられた.6)肝転移再発の予測を目的とする血清laminin濃度は,現時点においては,静脈侵襲による判別区分点1.44 U/ml以上とするのが適当と考えられた.
索引用語
hepatic metastasis of colorectal cancer, serum laminin concentration
日消外会誌 25: 1234-1242, 1992
別刷請求先
泉 公成 〒162 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学第2外科
受理年月日
1992年2月12日
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