症例報告
食道・胃同時性早期重複癌の1例
酒井 敬介, 関川 敬義, 小河原 忠彦, 野口 明宏, 松本 由朗
山梨医科大学第1外科
食道癌は頭頸部癌,胃癌など他臓器癌を併存することは知られているが,食道,胃の同時性早期癌は比較的まれであり,本邦において過去に19例の報告があるだけである.今回われわれが経験した症例は,66歳の男性で,胸やけを主訴に来院した.上部消化管検査の結果,胸部中部食道のIIa+IIb型早期癌と胃角部のIIc型早期癌と診断された.食道,胃同時性早期重複癌として,胸部食道全摘術,幽門側胃亜全摘術,左側結腸による胸骨後再建術施行し,結腸胃吻合には器械吻合器を用いた.
胃中部または胃下部の早期癌と食道との同時性早期重複癌の術式は,文献的にはほとんどの症例で胃全摘術がなされており,本例のように胃亜全摘術が施行されたのは本例を含めて2例のみであり,手術術式に重点をおいて文献的考察を加え報告する.
索引用語
early esophageal cancer, early gastric cancer, synchronous double cancer of esophagus and stomach
日消外会誌 25: 1268-1272, 1992
別刷請求先
酒井 敬介 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学医学部第1外科
受理年月日
1992年1月8日
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