症例報告
肝focal nodular hyperplasia の1切除例
大塚 眞哉, 渡辺 良平, 舟木 真人, 柚木 茂, 西原 幸一, 大森 克介, 北本 忠, 宮田 信ひろ, 大朏 祐治*
松山市民病院外科, 高知医科大学第2病理*
肝臓の腫瘍類似病変の1つである,focal nodular hyperplasia(FNH)の1切除例を経験したので報告する.症例は24歳女性,腹部超音波検査にて肝内腫瘤を指摘された.Ultrasonographyにて肝外側区域にhypoechoic lesionを認め,dynamic computed tomographyでは動脈相で高濃度域,門脈相で低濃度域として認められた.肝動脈造影にて腫瘤中心部より放射状に走る異常血管像を伴うhypervascular areaが認められた.以上よりFNHを疑うもHCCも否定しきれず動注療法後,肝左葉切除術を施行した.術後の病理組織検査では,治療による修飾も加味してFNHと最終診断した.FNHは比較的まれな疾患とされていたが,最近は報告例も増えてきている.最近の本邦報告30例を集計し,特にその術前診断を中心に文献的考察を加えて検討した.
索引用語
focal nodular hyperplasia, hepatectomy
日消外会誌 25: 1282-1286, 1992
別刷請求先
大塚 眞哉 〒790 松山市大手町2-6-5 松山市民病院外科
受理年月日
1992年1月8日
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